「第2の人口転換論」における「家族形成の脱標準化」の検証 : 日本・台湾・韓国の出生動向: 子どもの性別選好の観点からのアプローチ

書誌事項

タイトル別名
  • Examination of the "Destandardization of Household Formation" in the Theory of the Second Demographic Transition : From the Perspective of Fertility Behavior, Gender Preferences for Children in Japan, Taiwan and South Korea
  • 「 ダイ2 ノ ジンコウ テンカンロン 」 ニ オケル 「 カゾク ケイセイ ノ ダツヒョウジュンカ 」 ノ ケンショウ : ニホン ・ タイワン ・ カンコク ノ シュッショウ ドウコウ : コドモ ノ セイベツセン コウ ノ カンテン カラ ノ アプローチ

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抄録

「第2の人口転換論」は「家族形成の脱標準化」や「社会的背景の変容」をも含意する。単に出生率が人口置換水準以下に低下しているだけでなく、多様な家族形成やその背景に家族観や価値観などの個人主義化が見られる状態を「第2の人口転換」と定義できる。こうした現象が東アジアにおいても生じているかの検証をする必要性が論じられてきたが、これに応えうる研究は少なかった。そこで本稿では、低出生率化している日本・台湾・韓国を対象にNFRJ-S01、TSCS-2006、KGSS-2006のデータを用いて、既婚カップルの出生動向、とりわけ子どもの性別選好の観点から、「家族形成の脱標準化」を検証した。分析対象は、「第2の人口転換」期(とされている年代)が家族形成期に該当する結婚コーホートである。このコーホートとそれ以前の世代の出生動向の持続と変容を分析した。その結果、日本ではバランス型選好から女児選好に移行し、確かに「家族形成の脱標準化」は見られるものの多様化までには至らず、台湾と韓国では男児選好が一貫して持続しており、「家族形成の脱標準化」は生じていないことが明らかになった。したがって東アジアにおいては、ヨーロッパと同様に低出生率化の傾向を確認できても「第2の人口転換論」が提示するような変容は見られない。

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