キャリア・アントレプレナーシップの形成に向けた金融教育の波及可能性 : 金融経済ゲームの利用による行動介入の視点から

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  • Contribution of Financial Education to Obtain Career-Entrepreneurship

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抄録

本稿では金融教育を「常に変化を伴い、個々に非効率的行動を含む全体の中で、金融に関し個として主体的に意思決定を下し、その全体の構成員としての道徳的、倫理的なバランスを保ちつつ、個としてより良い暮らしを行うための知識と経験を得るための教育」と定義する。つまり「正しい金融知識を与えるだけでなく、金融に関し正しい意思決定と行動を経験により得ること」を目的とする。そしてその目的を包含する多人数同時参加型の金融教育ゲームがキャリア・アントレプレナーシップの醸成に波及するか否かを実験により検証した。金融教育の一要素として、「モノの見方、認識の変化」と「リスクを抑える戦略」に注目し、それらがキャリア・アントレプレナーシップの醸成項目にどの程度関係するかを測った。「モノの見方、認識の変化」の検証では、非インタラクティブ要素に比べ、インタラクティブ性があることが、キャリア・アントレプレナーシップの醸成に資するとはいえない結果となった。しかし弱い相関ながらも、インタラクティブ性の教育が、ビジネスの理解項目に資することが確認できた。「リスクの教育」の検証では、リスク要素をもつゲーム設定が、予め予測可能なゲーム設定に比べ、よりキャリア・アントレプレナーシップの醸成に資するといえた。以上より、金融教育の個々の要素がそれぞれキャリア・アントレプレナーシップの一部の醸成に波及することが確認できた。

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