人形遊び技法におけるナラティブの共同構築過程

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  • ニンギョウ アソビ ギホウ ニ オケル ナラティブ ノ キョウドウ コウチク カテイ

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抄録

type:P(論文)

就学前児童を対象に学生が実施したMSSBの共同構築過程について、逐語録と映像記録をもとに、いかなる相互交流が起こっていたか、また顕在的な相互交流の背後で両者の情緒・情動の自己調整ー相互調整がどのように進んでいったかを検討した。また上記の調整過程を実証的に検討するためのデータ化をめざし、相互交流過程を基本単位に分割し、単位ごとに反応様式と反応内容から記号化を行った。MSSBでの園児と面接者の相互交流は、課題に取り組む共同作業であり、心理療法場面で来談者が面接者に支えられながら自身の問題に取り組むことに類似している。また相互交流を通した情緒の自己調整ー相互調整の過程は、乳児ー母親の相互交流と同時に心理臨床過程の来談者ー援助者関係の中核を為すものと考えられており、本研究は心理療法のプロセス研究と位置付けることができる。今回の4人の園児のMSSB過程では、園児と面接者(学生)との間に多様な相互交流が生じており、情緒の調整も Beebe,B. らが指摘するように、明示的領域と黙示的領域に分けて、相互調整と自己調整の関連を検討することが有意義であると考えられた。今後、さらに多くのMSSB過程の相互交流を検討し、それを記号化する作業にも取り組みたい。

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