理科教育における地域連携を題材にした研究の特色

書誌事項

タイトル別名
  • リカ キョウイク ニ オケル チイキ レンケイ オ ダイザイ ニ シタ ケンキュウ ノ トクショク

この論文をさがす

抄録

type:P(論文)

わが国の理科の教育課程において、近年、地域連携をすすめていくことが推奨されている。本研究では地域連携に含まれる3要素「日常生活」、「地域社会」、「自然環境」に関する記事、論文の内容に基づき、質的な側面からの調査として理科教育における地域連携研究の特色について考察する。調査の対象としたのは2000年~2011年に『理科の教育(日本理科教育学会編、東洋館出版社)』と『理科教育学研究(日本理科教育学会誌)』に掲載された記事、論文、合計387本であった。結果、各3要素について次のことを導出した。日常生活:「健康」、「食育」、「防災」、「安心・安全」、「キャリア教育」といった用語が理科の具現化を導くキーワードであることを見いだすことができた。 地域社会:理科で地域社会との連携を具現化するということは、教師の授業づくりに対する能動的態度を形成することであり、そのことが教育実践の質の高さにつながると提言されていた。「地域社会」を観点とする地域連携研究においては、実践による教育効果や理科教員の力量が着目されていた。 自然環境:理科の単元学習と野外活動との関連づけにより、学校知と日常知のつながりについて学ぶ実践事例、あるいは観察をとおして児童・生徒への自然のしくみについて体験的に学習させようとする手法が示されていた。また、新しい教材(教具)・プログラム開発による実践研究ないしは既存の教育方法・評価に着目した論考が展開されていた。以上のことから、理科教育における地域連携研究の特色として、日常生活とのむずびつきをひきだすキーワード、地域社会を活用する教員の力量、自然環境をとおした学校知と日常知とのつながりといったことがあげられた。さらに実践者・研究者の提言する地域連携の実情として、1)地域連携を具現化することは教育実践の「質」であること、2)地域連携を具現化できるかどうかは教員の意欲に依存すること、3)地域連携を具現化することに伴う作業は、教員(教師)の力量を示すことも見いだされた。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ