スウェーデン労働組合の経済政策

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タイトル別名
  • Economic Policy of Swedish Labor Unions
  • スウェーデン ロウドウ クミアイ ノ ケイザイ セイサク

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抄録

一般的に労働組合は賃金に関する調整能力しか持たないと考えられているが,本来は様々な機能を持っている.経済理論においても労働組合は賃金調整機関として消極的に位置づけられているが,いくつかの理論においては労働市場を組織化し,労働供給を独占することで,賃金決定を価格メカニズムから制度的調整へと転換し,広くマクロ経済に影響を与えるメカニズムが示されている.スウェーデンでは労働組合による労働市場の独占が形成され,労働力商品は価格メカニズムから失業保障による数量調整へと転換した.その上でレーン=メイドナー・モデルを導入することによって独占を強化し,経済成長と投資量のコントロールを行った.さらに労働者基金制度により生産量と投資量のコントロールに乗り出したが,財市場の組織化が伴わず最終的には失敗に終わった.これらスウェーデンの労働組合の経験は,市場の組織化が労働組合による経済政策の条件であることを示唆している.

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