現代ポピュリズムの構造的条件 : 機能分化論の視点から

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タイトル別名
  • Populism and Moralization of Politics in the Age of Systemic Crisis─A Sociocybernetic Case Study of Japanese Politics─
  • ゲンダイ ポピュリズム ノ コウゾウテキ ジョウケン : キノウ ブンカロン ノ シテン カラ
  • Populism and Moralization of Politics in the Age of Systemic Crisis : A Sociocybernetic Case Study of Japanese Politics

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抄録

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本稿ではまず近年の欧米のポピュリズム研究の各種アプローチを概観し、現代ポピュリズムの特質をふまえて本稿としてのポピュリズム定義を試みる。その際、西欧と日本のポピュリズム研究が、ともに現代ポピュリズムの道徳的レトリックに着目していることを指摘する。ついで、小泉政権のケースを社会システム理論の見地から分析することで、マスメディアと政治のコミュニケーションが相互接続して政治を劇場化する構図を社会理論的視点から描く。さらに現代ポピュリズムの背景には、解決が困難な慢性的経済不況や政治の機能不全からなる複合的な危機状況があること、またこの「危機」がマスメディアや政治勢力による社会記述によって構築された一種の政治的リアリティであることにも注意を促す。こうした状況において、冷静な政策論ではなく、道徳的レトリックで政敵を非難して民衆の支持を獲得しようとする政治手法が、開かれた討議型の民主主義の成熟のさまたげとなる可能性について考察する。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 122 (11・12), 1-24, 2016-03-22

    法学新報編集委員会

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