Madhva派にとってのVaisesika多元論に関する一考察

• 池端 惟人

  Kyoto University

書誌事項

タイトル別名

• The Madhva School's View on the Pluralism of Vaisesika:
• The Madhva School's View on the Pluralism of Vaisesika : On the Problem Seen in Jayatirtha's Tattvaprakasika
• ―― Jayatirtha作Tattvaprakasika, Vaisesika批判部に見られる問題――
• On the Problem Seen in Jayatirtha's Tattvaprakasika

抄録

Madhva(1238-1317)は別異論(Dvaita)を提唱したことで他のVedanta学派と区別される.彼が説く<五つの別>(pra-panca)には,Brahmanに同一視されるVisnuと他の個我・物質との別だけでなく,非精神的事物(jada)相互の別も数えられる.この点において,Vaisesikaの説く多元的実在論はDvaitaにとって完全な否定対象たり得ないはずである.それを示唆するかのように,Madhva派の学匠,Jayatirtha (1365-1388)は,MadhvaのBrahmasutra註への複註Tattvaprakasika中,Vaisesika批判部において,<Visnuの美質の無限性>という特別な目的を設定している.<世界の原因>に関する諸学説を否定する最中,他の箇所と明確に異なる,このような目的改変を行った背景には,Madhva派とVaisesika説との同類性,すなわち,主宰神を動力因(nimittakarana)と考える近接性があると考えられる.しかしながらVaisesika説の考える主宰神には現実的・論理的限界があることも彼らは察していた.同じく主宰神動力因説を認めながらも,Vaisesikaの立てる有限の主宰神に,すべての不可能を可能にする属性を<上乗せ>することで,真の世界原因たらしめる.これこそが<世界の原因>をめぐる一連の議論の中で唐突に<神の能力の無限性>を議題とした理由と考えられる.

収録刊行物

• 印度學佛教學研究

  印度學佛教學研究 62 (3), 1151-1155, 2014

  日本印度学仏教学会

キーワード

• Vedanta
• Dvaita
• Madhva
• Jayatirtha
• Vaisesika
• nimittakarana

詳細情報

• CRID: 1390001205380185216
• NII論文ID: 110009809465
• NII書誌ID: AN00018579
• DOI: 10.4259/ibk.62.3_1151
• ISSN: 18840051
• ISSN: 00194344
• NDL書誌ID: 025364905
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I025364905
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk/62/3/62_KJ00009323475/_pdf
• 本文言語コード: en
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可