生殖補助医療における「子を持つという欲望」 : フランス生命倫理法2011年改正から

DOI
  • 小門 穂
    立命館大学衣笠総合研究機構生存学研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • "Desire to have children" and the assisted reproduction in the revision of French bioethics law

この論文をさがす

抄録

フランスにおいて、生殖補助医療を規制する生命倫理法は2011年7月に改正された。2011年改正では、生殖補助医療の目的について述べた条文(保健医療法典第L.2141-2条)から「生殖補助医療とは親になりたいというカップルの要求に応えるためのものである」という一文が削除された。主に議会資料を対象とした調査から、この修正は、2009年6月に実施された生命倫理全国国民会議での市民パネルと専門家の議論とその後の勧告の影響が大きいことが分かった。利用者を男女に限定することで生殖補助医療をあくまでも医学的不妊の治療と位置づける従来の方針に変化はないが、生殖補助医療の規制の枠組みに入らない人々の子を持ちたいという欲望について議論が深められたことは、2011年法改正の特色の一つであるといえる。

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 23 (1), 134-141, 2013

    日本生命倫理学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ