若年者における急性上気道炎の発症頻度と智歯萌出状態との関連

  • 町田 達哉
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 水谷 慎介
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 片岡 広太
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 山根 真由
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 丸山 貴之
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 東 哲司
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 友藤 孝明
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 江國 大輔
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 森田 学
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Episode of Upper Respiratory Tract Infection and Eruption Pattern of Third Molars in Okayama University Students
  • ジャクネンシャ ニ オケル キュウセイ ジョウキドウエン ノ ハッショウ ヒンド ト チシボウシュツジョウタイ ト ノ カンレン

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抄録

 口腔状態と気道感染の関連性の議論が近年盛んである.口腔は上気道と接しており,半萌出智歯の存在は,隣在歯との間に清掃困難な空間を形成し,智歯周囲の細菌量を増加させ,上気道を含む周囲組織に影響を与えうる.そこで,対象者を智歯萌出時期である18-20歳の大学生とし,急性上気道炎の発症頻度と智歯萌出状態の関連を検討することとした.2013年岡山大学新入生健康診断の際に歯科健診を任意受診した18-67歳(平均年齢18.5±2.1歳)の2,205名中,非喫煙者でデータ欠損のない18-20歳の1,964名(男性1,130名,女性834名)を分析対象とした.口腔診査を行い口腔清掃度,地域歯周疾患指数,および智歯萌出状態を調べた.自己記入式質問調査により過去1年間の急性上気道炎の発症頻度を尋ね,年間3回以上発症した群と3回未満発症した群の2群に分けた.χ^2検定で2群比較を行い,有意な関連を智歯萌出状態と過去1年間の一番奥の歯ぐきの痛みの既往で認めた(P<0.05).口腔清掃度にも一定の関連性を認めた(P=0.054).性別,口腔清掃度,智歯萌出状態,過去1年間の一番奥の歯ぐきの痛みの既往を説明変数としたロジスティック回帰分析を行ったところ,萌出智歯なしの者に対し,半萌出智歯を有する者は急性上気道炎を過去1年間に3回以上発症していた者の割合が有意に高かった(P=0.003).大学生において智歯萌出状態と急性上気道炎の発症頻度に関連性があることが示唆された.

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