最先端医療の社会学的焦点化をめぐって(基調講演,シンポジウムI:最先端医療への社会学的焦点化,特集)

書誌事項

タイトル別名
  • Towards Sociological Focusing of Ethical Issues of Biomedicine(Keynote Speech,Symposium I)
  • 最先端医療の社会学的焦点化をめぐって
  • サイセンタン イリョウ ノ シャカイガクテキ ショウテンカ オ メグッテ

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抄録

先端医療は本質的に、新しい医療技術と社会的諸価値との調整問題を含んでいる。この問題は一般に生命倫理とよばれるが、日本の大学アカデミーによる生命倫理研究の多くは実質的にアメリカにおけるバイオエシックス研究の輸入であった。この課題の多くは、本来医療職能集団が策定する倫理的ガイドラインとその遵守問題として扱われるはずのものである。医療職能集団としてのこの種の統治は、医療者全員が強制的に加入する、懲罰規定をもつ公的身分組織があることによって保証される。だがなぜか日本には医療者を包括する強制参加の身分組織がないため、たとえば脳死移植や生殖補助医療の規制がうまく機能しないままにある。俗に言う医療不信と、強制参加の身分組織がないこととはほぼ見合いの関係にある。日本医師会は任意加入の社団法人でしかなく、個別専門学会が決める倫理的ガイドラインは、学会員の見識に訴える見解に留まるものである。

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