「福祉国家の危機」と医療 : 本当に「小さい政府」は志向されているのか?

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タイトル別名
  • Crisis of welfare state and health care : Social determinants of "small government" preference in health care
  • フクシ コッカ ノ キキ ト イリョウ ホントウ ニ チイサイ セイフ ワ シコウ サレテ イル ノ カ

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抄録

福祉国家の危機が叫ばれ「小さい政府」志向の政策が各国で進められている現在、日本の医療政策について国民はどのような意識をもつているだろうか。またその意識は、社会集団によってどのように異なるだろうか。本論は1996年「政府の役割に関する調査」データをもとに、医療における「小さい政府」志向について記述的分析を行うとともに、福祉国家研究を基に日本の医療政策についての国民の意識パターンについて三つの仮説を提示し、意識の社会的規定要因について分析を行った。その結果、日本の世論は、政府の医療支出の削減や責任の軽減という形でこの危機に対応すべきであるとは考えておらず、むしろ、国民の大半が、ほぼ一様に、政府が医療に責任をもち、医療支出をさらに増やすべきであると考えていることが明らかとなった。ただし、そうした意識には、所得、就業状況、年齢等、それぞれのおかれた社会的文脈によって、多少の温度差がある様子も示された。

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