高齢者の長期療養の実態と介護問題の構造 : 住宅型有料老人ホームの事例から

  • 野口 史緒
    名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • Current Status of Long-term Care for the Elderly and the Structure of Nursing Care Problems : A Case study on Residential Private Nursing Homes for the Elderly
  • コウレイシャ ノ チョウキ リョウヨウ ノ ジッタイ ト カイゴモンダイ ノ コウゾウ : ジュウタクガタ ユウリョウ ロウジンホーム ノ ジレイ カラ

この論文をさがす

抄録

第34回社会保障審議会介護保険部会資料(2010年)によると,特別養護老人ホームの入所申請待機者は,42万人にのぼり,そのうち在宅以外で待機しているのは52.8%であった.本研究では,そのような背景から,医療機関を退院後,行き場を見つけづらい高齢者が,住宅型有料老人ホーム(以下「ホーム」)に入居している現状に注目した.そこで,ある「ホーム」の常時介護を必要とする高齢者47名の家族の聞き取り調査とそこにおける看護・介護労働者の聞き取り調査を行い,長期療養高齢者の生活問題を包括的に捉えることを試みた.入居者世帯を階層区分した結果,相対的安定層といえども,医療,介護,住宅にかかる自己負担は重く,常に経済的不安を抱えながら生活していることが確認された.また入居者は,介護保険制度によって決められた時間報酬のために,短時間で区切られたケアを受けていた.これらの調査結果から,介護問題の構造を浮き彫りにする.

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 55 (2), 79-94, 2014-08-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ