思想史研究の位相 : 思想史を読むことと書くこととのあわい(コメント論文,近代日本における倫理的主体の形成と身体観の変容,フォーラム1)

書誌事項

タイトル別名
  • Situs of the History of Ideas : Between Reading and Writing the History
  • 思想史研究の位相--思想史を読むことと書くこととのあわい
  • シソウシ ケンキュウ ノ イソウ シソウシ オ ヨム コト ト カク コト ト ノ アワイ

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抄録

翻訳という作業は、ただ明治期日本における西洋思想の摂取の場合だけに行われてきたわけではない。聖なる書の翻訳をはじめ翻訳作業は思想伝播の原動力となってきた。パラダイム転換の際に生じる専門用語の揺らぎは、思考様式や理論の変容の兆しだといえる。パラダイム転換という大きな変化はもちろん、個々の人間がテクストを読み、テクストを書くという営みも広義の翻訳作業だと見立てることができる。この観点からするならば、主体や身体の思想系譜をたどるためには、例えば、生理的身体ともいうべき近代的身体イメージの導入とそれに伴って生じた伝統的な身の思想の後景化といったような、概念の一義性だけでなく多義性へも配慮した分析が必要となる。また、心身の二元論と一元論といった対抗図式、あるいは思想導入や理論構築の失敗や成功といった判断基準を思想史研究に持ち込むことにはいかに慎重でなければならないかも明らかになってくる。

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