「虞美人草」論 : <自我>と<虚構>をめぐって(<特集>近代文学における<虚構>と<自我>)

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Gubijin-so : The "Ego" and "Fiction"(<Feature Articles>"Fiction" and "Ego" in the Modern Literature)
  • 「虞美人草」論--<自我>と<虚構>をめぐって
  • グビジンソウ ロン ジガ ト キョコウ オ メグッテ

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抄録

「作者」という語が直接登場しているように、夏目漱石「虞美人草」では作家の<自我>が露出し、<虚構>はその支配を受けている。だが、先行する小栗風葉「青春」の男女密会の「大森」行きに象徴される恋愛の<引用>として、さらには「青春」や小杉天外「コブシ」の「兄妹」の<引用>として「虞美人草」は<虚構>の新たな活性化をはかっている。とくに宗近の妹よし子の<妹の力>としての<虚構>は必ずしも<自我>に従属していない。この作品の<自我>と<虚構>は見合っており、そこに「虞美人草」の独自の構造と魅力がある。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 35 (10), 1-11, 1986

    日本文学協会

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