敦煌写本S 4221:――金剛寺本『安般守意経』に関する注釈テキストの研究―― A Study of Dunhuang Manuscript S 4221::The Annotated Text Related to the Kongoji Anban shouyi jing

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抄録

荒牧典俊は『出三蔵記集・法苑珠林』(大乗仏典中国・日本篇第3巻,中央公論社,1993年,p.226)の訳注研究に「敦煌写本S 4221が『小安般経』の残簡ではないか」と指摘していた.筆者が確認したところ,S 4221には,1999年に発見された金剛寺所蔵版『安般守意経』に関する「注釈テキスト」が保存されていると指摘したい.S 4221の題名は,「漏尽鈔」(擬為瑜伽論疏部)と書写されているが,尾題と考えられる漏尽鈔はS 4221の巻末ではなく,ほぼ巻中のことろに置かれている.これを尾題と考えれば,S 4221の内容を前半と後半とに分けることができる.その内容の前半は,ほぼ金剛寺所蔵版『安般守意経』のテキストの内容と一致し,そして多数の注釈も混在している.後半は前半の内容に関連する様々な「法数」が解釈されている.この注釈テキストは東晋・謝敷が著したもの,つまり,『安般守意経』(道安のいう『小安般経』)に対する「注」であった可能性はかなり高い.「安般守意経序」によれば,謝敷は『大安般(守意経)』『修行(道地経)』などの経典から『安般守意経』の内容と相応する文を引用し該当内容のところにあわせておいた(T 55, p.44b22-24).さらに,序文中の「其文雖約」(T 55, p.44b9-10)というキーワードから,彼の注釈した文献は,簡約なテキスト-つまり,短篇的な『安般守意経』であって,二巻本の『大安般守意経』とは異なったもの,と見られる.経録によれば,晋代において『安般守意経』と『大安般守意経』との二経は,かつて存在していた.前者は『道安録』でいう『小安般経』に該当する可能性が高い.謝敷は,この『小安般経』を注釈するため,『大安般守意経』の内容をも引用していた.

収録刊行物

  • 印度學佛教學研究

    印度學佛教學研究 63(3), 1133-1140, 2015

    日本印度学仏教学会

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    110009936945
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00018579
  • 本文言語コード
    ENG
  • ISSN
    0019-4344
  • NDL 記事登録ID
    026276168
  • NDL 請求記号
    Z9-55
  • データ提供元
    NDL  NII-ELS  J-STAGE 
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