マンダナ・ミシュラ作『スポータ・シッディ』に対するパラメーシュヴァラIII世による『ゴーパーリカー』註における原典批判

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  • Textual Criticism in the Gopalika of Paramesvara III on Mandana Misra's Sphotasiddhi

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抄録

過去の南アジア文明を学ぶために,我々はより信頼の置けるテキストを望む.そしてそのために我々は原典批判の手法を用いる.マンダナ・ミシュラ作『スポータ・シッディ』に対するパラメーシュヴァラIII世の著した註釈『ゴーパーリカー』には原典批判の手法を採用したと見られる記述が多く見られる.パラメーシュヴァラはマンダナが引用するテキストの異読を,それらのテキストのソースに基づき紹介し,『スポータ・シッディ』そのものについては,その複数の写本あるいはより古い註釈を比較しつつ異読を丹念に検討する.場合によっては,彼のいう異読は彼が考案したものである.また,テキストの読みが写本では不確かである場合には複数の可能性を考察する.本稿ではそれぞれのパターンに関して実例を挙げつつ紹介する.彼の手法やテキストに対する態度は現代の我々の考える文献学に通じる.彼はテキストが流動的であること,テキストには複数の可能性があることを熟知していた.しかし,彼は現代の文献学者のようにどの読みを積極的に支持するかは提示しない.これは個々の読者に任されている.

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