刹那滅論証に関するBo dong 'Jam pa'i dbyangs Sho re baの理解

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タイトル別名
  • Bo dong 'Jam pa'i dbyangs Sho re ba's Understanding of the Proof of Momentariness:
  • Bo dong 'Jam pa'i dbyangs Sho re ba's Understanding of the Proof of Momentariness : His Commentary on the Pramanaviniscaya
  • ―― Pramanaviniscayaに対する註釈を基にして――
  • His Commentary on the Pramanaviniscaya

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抄録

ダルマキールティの著作,特にPramanaviniscaya(以下PVin)における刹那滅論証には,従来vinasitvanumanaと呼ばれてきたいわゆる「無因消滅論」と,「拒斥論証」(sadhyaviparyaye badhakapramana)とが使われている.この2つの論証の関係については,その後の註釈者や現代の研究者が様々な解釈を提起しているが,いまだ十分には考察されていないように思われる.そこで本論文では,チベット人による註釈書のうち,カダム派のサンプ(gsang phu)僧院出身と知られるポドン・ジャムペーヤン・ショレワ(Bo dong 'Jam pa'i dbyangs Sho re ba, 13c.,以下「ショレワ」)によるPVinの註釈書に基づき,2つの論証法の関係に対する彼の理解を明らかにした.ショレワによると,「無因消滅論」は,事物が他の原因に依存して消滅すると主張する者に対して用いられ,「拒斥論証」は,事物が消滅しないと主張する者に対して用いられているという.ショレワの註釈に関して注意したいのは,サキャ派の著名な学僧であり且つ,しばしばカダム派の論理学的理解を否定していたサキャパンディタ・クンガーギェルツェン(Sa skya pandita Kun dga' rgyal mtshan, 1192-1251,以下「サパン」)の見解を積極的に受け入れ,それに従っていることである.また本論文では最後に,「無因消滅論」と「拒斥論証」の関係についてショレワが採用しているサパンの理解は,ゴク・ロデンシェーラブを代表とするカダム派の理解と相矛盾するものではないことを指摘した.

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