ドイツにおける労働への社会的規制 : 「雇用の奇跡」と二重共同決定制度(<特集>社会政策としての労働規制)

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タイトル別名
  • The Social Regulation on Labor in Germany : The 'Job-Miracle' and Dual Codetermination System(<Special Issue>Labour Regulation as Social Policy in Europe and Japan)

抄録

1990年代以降,グローバル競争と新自由主義の影響のもとに,ドイツでも日本と同様に労働の規制緩和や集団的規制力の後退が進行してきた。しかし他方で,ドイツでは2000年代半ば以降,日本と異なる動きが展開している。リーマン・ショック後の経済危機の中では,失業者をださない「雇用の奇跡」と呼ばれる現象が労働時間の調整政策を通じて発生した。また,増え続けてきた非正規労働者は頭打ちになり,減り続けてきた正社員は増加するという新しい傾向が見られる。ドイツが国際競争力を維持する一方で,職場レベルの労働条件の規制活動が活発化し,長期低落傾向にあった労働組合運動が再活性化する兆しもある。ここでは,1990年代から現在までの20年間で展開してきた,こうした規制緩和から再規制への変化が,集団的協約体制と企業・職場レベルの従業員代表委員会という二つの伝統的な共同決定制度によってもたらされたものであること,とりわけ労働時間の柔軟化を雇用・生活保障とを結びつける政策が二つのレベルで展開したことを明らかにする。他方で,こうした方法がローカル市場におけるサービス業などには十分に及ばないという協約自治の限界も存在しており,これが最低賃金法などの法的規制を要請していることを論じる。

収録刊行物

  • 社会政策

    社会政策 7 (1), 28-47, 2015

    社会政策学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681095707136
  • NII論文ID
    110009984506
  • DOI
    10.24533/spls.7.1_28
  • ISSN
    24332984
    18831850
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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