1970年代フランス福祉国家と家族モデルの変容過程 : 議会の言説・文書分析から

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書誌事項

タイトル別名
  • The Evolution of the French Welfare State and its Family Model in the 1970s : An Analysis of Parliamentary Discourse and Documents

抄録

高い出生率を誇るフランスの家族政策に近年,関心が高まっている。だが家族給付や多様な家族への現在の支援制度に注目が集まり,男性稼ぎ主モデルでの出生率向上を目指したフランス福祉国家が,1960年代末からの女性の労働市場参入という社会変動の中で,どのように変化したのかについては十分解明されていない。本稿は,フランス福祉国家が共働きモデルへと大きく舵を切った1970年代を対象に,二つの法律(1972年諸措置法と1977年親育児休暇法)の成立過程を議会の文書・言説から分析し,その変化の軌跡を検証した。議員たちは女性の就労という現実を前に1972年には抵抗し,家庭回帰を促した。1977年には女性の就労継続を前提とするようになったが,ケア提供者は母親か両親かで対立した。家族モデルはこうした抵抗,葛藤を経て共働き前提へと変化した。変化の理由には,社会変動に応じた新たな価値を議員が内面化したことや,ヨーロッパの追い風が考えられる。

収録刊行物

  • 社会政策

    社会政策 7 (1), 137-148, 2015

    社会政策学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681095728128
  • NII論文ID
    110009984515
  • DOI
    10.24533/spls.7.1_137
  • ISSN
    24332984
    18831850
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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