鳥類の繁殖における仮親の活用に向けた擬卵による抱卵・育雛行動の誘発

DOI 日本農学文献記事索引 Web Site オープンアクセス
  • 上野 安貴
    東京農工大学農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター
  • 鈴木 馨
    東京農工大学農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Induction of brooding behavior using dummy eggs for cross-fostering birds

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抄録

仮親育雛は、鳥類の増殖において、種親の繁殖成功率を高めることから有用になりうる手法である。本研究では、飼育下繁殖において仮親を計画的に活用するために必須となる、種親の産卵に合わせて仮親の抱卵・育雛行動を誘発する簡便な手法の検討を行った。キンカチョウ(Taeniopygia guttata)4ペアを種親、ジュウシマツ(Lonchura striata var. domestica)4ペアを仮親のモデルとして用い、キンカチョウの産卵開始後にジュウシマツの巣に擬卵を設置することで就巣行動を誘発した。全てのジュウシマツにおいて、擬卵の設置のみで就巣行動が誘発され、キンカチョウの卵を預けられた。独立ち成功率は平均56.3±10.7%であったが、この結果は1羽も育て上げられなかった1ペアと独立ち成功率75.0±8.3%であった他のペアに二分されていた。また成功しなかったペアにおいては、擬卵設置後の抱卵開始日が4.33±0.14日目であり、他のペアにおける0.96±0.15と比較すると著しく遅かった。本研究結果は、擬卵を用いた人為的な就巣誘発は仮親育雛において利用可能であることを示している。同時に、擬卵に対する行動から仮親候補への本手法の適用可能性を事前に判断することで、最終的な育雛成功率の精度を向上させることが可能であると考えられる。擬卵を用いた本手法により、鳥類の繁殖における仮親の計画的な活用が容易になることが期待される。

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