インドにおける「サティー」の観念の現代的再解釈 : ラーニー・サティー寺院の縁起譚をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • The Contemporary Reinterpretation of the Idea of sati in India : Focusing on the Narrative of the Rani Sati Temple
  • インド ニ オケル 「 サティー 」 ノ カンネン ノ ゲンダイテキ サイカイシャク : ラーニー ・ サティー ジイン ノ エンギタン オ メグッテ

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抄録

本論は時代やその背景とともに変遷するサティーの観念が現代においてどのように解釈されているのかを探ることを目的とする。従来、インドにおいて、サティーとは一般的に夫が死んだ際に妻が夫の遺体とともに積み薪で焼かれる慣行のことを意味する。インドにおけるサティーの観念の解釈はヒンドゥー教諸文献にも記述されており、その見解は時代的傾向と特色、また著述家の立場や地域によって異なっている。しかし、現代では寡婦殉死のみがサティーを意味するのではなく、寡婦殉死した女性が女神化したサティー女神や夫に対して献身的な女性(パティヴラター pativrata)の称号としても認識されている。筆者はインド北西部ラージャスターン州ジュンジュヌー県(Rajasthan, Jhunjhunu)に所在するサティーになった女性を女神として祀るラーニー・サティー(Rani Sati)寺院の縁起譚に着目し、その縁起譚で描かれる夫に対して貞節な理想の女性ナーラーヤニー・デーヴィー(Narayani Devi)のサティー像とこの寺院によって解釈されるサティー崇拝の解釈を試みる。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 89 (3), 495-519, 2015

    日本宗教学会

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