Dharmakirti's Statement of Consequence (prasanga) in the Third Chapter of the Pramanaviniscaya

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  • 『プラマーナヴィニシュチャヤ』第3章におけるダルマキールティの帰謬論証

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ダルマキールティはその著書『プラマーナヴィニシュチャヤ』第3章「他者のための推論」の中で,帰謬論証の例をあげる.帰謬(プラサンガ)論証は対論者の主張を論駁するためのものであり,相手の主張から主題とその属性を借用し,それを前提条件として,そこから相手にとって不合理な結論を導き,相手の主張の矛盾を指摘することにより論駁する仮言論証である.ダルマキールティも帰謬論証が対論者によって構想された属性にもとづくことは認めているが,彼が提示する論証式は以下の点で,それまでの帰謬論証とは大きく性格を異にする.(1)論証因を用いること,(2)仮言的表現を用いないこと,(3)遍充関係に相当する論証因と帰結の二つの属性の必然的関係が肯定的否定的遍充の両方で示されること,(4)その必然的関係は実在にもとづくこと.さらに,ダルマキールティが考える「論証因」は,借り物の主題の属性にはなり得ないが,そのような主題を離れれば,正しい認識(プラマーナ)によって成立し,対論者立論者両方によって認められるものである.その「論証因」から必然的に導き出される帰結は論理的帰結であり,誰もが認めざるを得ないものである.このような論証因の導入は革新的なことであったが,これなくして説得力をもった対論者の論駁はなしえないとダルマキールティは考えたのであろう.本論文は,このような彼の意図を明らかにすると同時に,彼が用いる「本性」(svabhava)という語は自らの存在そのものを指すのではないか,また「本来的論証因」(maulahetu)は「自らの理解,認識に根ざした論証因」すなわち他者のための推論にいうところの「自ら認めたもの」(svadrstartha)を指すのではないか,という解釈を提示した.

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