小規模製造業の存在意義と今後の役割 : 大阪・兵庫地域を対象に

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  • ショウキボ セイゾウギョウ ノ ソンザイ イギ ト コンゴ ノ ヤクワリ オオサカ ヒョウゴ チイキ オ タイショウ ニ

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今日の小規模製造業は、国内製造業が量的な「縮小」局面を迎えているなかで、厳しい状況にある。本稿では、まず2002年度に実施された「大阪市製造業実態調査」(全数調査)のデータを利用して、①売上額の推移に規模別の差が大きい、②経営課題、経営上の問題点でも規模による差が大きい、③廃業予定企業の割合が小規模製造業は高い、④ネットワーク、産学連携への関心が低い、といった特徴を確認した。その上で、われわれが行ってきたさまざまな事例調査を用いて、小規模製造業の事業継承、技能継承、新規事業展開、ネットワークについて考察した。その結果、小規模製造業には次のような課題があることを示した。第1に量的な「縮小」が進むなかで、小規模製造業は従来の事業形態から転換を遂げていく必要がある。現実に、厳しい時代のなかで売上を増加させている小規模製造業のなかには、従来とは異なった新たな対応を進めている企業が多く、こうしたデータから示唆されるものは多い。第2に、世代交代を進め、存続していこうとする企業の若手後継者に対しては、企業のコアコンピタンスを継承していくとともに新しい時代に対応していく独自の能力を備えていく必要があり、そのための支援や機会を整えていくことである。第3に、後継者がいない企業についてもM&Aなど、企業としての継承が図られるような制度的な対応を行っていくことである。そして、こうした課題を追求していく上で期待されるのが小規模製造業のネットワークである。小規模製造業のネットワークは、量的にはまだ少ないものの、参加企業をレベルアップしていく上で大きな意味を持っているものが多い。小規模製造業のネットワークは、必ずしも即効的に参加企業の事業を拡大させるものではない。しかし、参加した企業のレベルアップにはつながっている事例が多く、ネットワークの目的を明確にして取り組む必要があるだろう。

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  • 調査季報

    調査季報 74 27-49, 2005-08

    国民生活金融公庫総合研究所

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