クン・サンの「きついジョーク」はいつ・どこで語られたのか

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  • When and where did the !Kung San hunters talk the “severe joke” ?

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抄録

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一般に狩猟採集民の社会は徹底した平等主義社会であると位置づけられている。リー(1979)が 記載したクン・サンのハンターたちが交わす「きついジョーク」は、このことを端的に示す事例と して多くの人類学者たちが紹介している。また、リーが調査地のクンたちへのクリスマス・プレゼ ントとして購入してきた大きな雄牛が、彼らによって酷評されてしまったというエピソードも、同 様の例として引用される。私はムブティやアカのハンターたちが仲間の殺した獲物をけなす「きつ いジョーク」を聞いたことがなかった。そこで、クンはなぜそのようなジョークをあえて言うのか という疑問をもった。また、リーはハンターたち自身による「きついジョーク」と雄牛のエピソー ドのどちらを先に経験したのだろうか。 本稿では、リー自身は雄牛の一件をどのように受けとめ、そこから何を理解するに至ったのか、 さらに、ハンターたち自身が交わすとされる「きついジョーク」は実際にはいつ、どこで、どのよ うな状況のもとでリーが知ることができたことなのかを、リーの叙述をもとに明らかにする。これ らのことは、彼の著書の以下のような目的に直接に関わっているからである。「・・・また調査者 たちがクンの生活に、そしてクンたちが調査者たちの生活に及ぼした相互のインパクトを跡づける。 その目的はフィールドワークの経験なるものを(読者に)お伝えすることにある。」

弘前大学大学院地域社会研究科年報. 3, 2006, p.37‐47

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