3回に及ぶ選択的動脈塞栓術にて治療し得た腎断裂の1例

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タイトル別名
  • Renal transection conservatively treated three times by selectively transarterial embolization (TAE): a case report
  • 3カイ ニ オヨブ センタクテキ ドウミャク ソクセンジュツ ニテ チリョウシエタ ジンダンレツ ノ 1レイ

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抄録

12歳男。自転車走行中にバイクと接触し, 左側腹部痛を来たした。検査所見で白血球増加, 貧血, LDH・CK上昇を, CTで左腎上極の断裂と周囲の血腫形成を認めた。血管造影を施行し, 左腎上極へ分枝した動脈からの出血を認め, コイルによる選択的動脈塞栓術(TAE)を行った。しかし受傷後2日目に左側腹部痛増強と肉眼的血尿が出現し, 血管造影で同じ動脈からの出血を認め, 再度TAEを行った。受傷4日目も炎症所見と発熱が続き, 貧血が進行したためCTを施行した。血腫は縮小傾向であったが, 左上断裂腎からの尿漏を認め, 感染症の併発を考えて断裂腎に対するTAEを試みた。左腎上極へ分枝した動脈をスポンジセルを用いて塞栓したところ, 徐々に解熱, 炎症反応改善が得られ, 23日目のCTでは血腫縮小傾向を認めた。受傷5ヵ月目のCTでは断裂腎は萎縮し残存していたが造影効果は認めず, 血腫は完全に吸収され, 残存腎の機能は十分に温存されていた。尿漏や水腎症などもなく経過順調である。

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 54 (6), 407-410, 2008-06

    泌尿器科紀要刊行会

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