ケインズの消費関数理論とその周辺

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  • Keynes Consumption Function Theory and Relates Problems
  • ケインズ ノ ショウヒ カンスウ リロン ト ソノ シュウヘン

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抄録

ケインズの『一般理論』において初めて、経済学のなかに消費関数\nの概念が導入された。消費関数は、『一般理論』のなかで乗数と共にきわめて重要\nな位置を占めている。本論文は、消費関数そして密接に関係している乗数を中心に、\nこれらの概念に関連するいくつかの問題を検討し整理した。\n『一般理論』の第8章をもとに、ケインズの消費関数およびその形状そして、消\n費に影響する客観的な要因について検討した。そのなかで、ケインズ消費関数のミ\nクロ理論的基礎、現代の消費関数理論(ライフサイクル仮説・恒常所得仮説)との\n関連について触れた。また、客観的要因で扱われている資産価値の意外な変化・時\n間割引率(利子率)の中で、実質残高効果・ピグー効果、そして貨幣賃金の切り下\nげに判うケインズ効果を扱った。第9章をもとに消費に影響を与える主観的な要因\nを検討した。ケインズが示した貯蓄動議はその内容が異質的であると同時に補完的\nで、現代の消費・貯蓄理論に多くの示唆を与えるとともに、ケインズが指摘した貯\n蓄動機のいくつかは、現代の消費関数理論の重要なテーマでもある。\n第10章をもとに、ケインズの乗数の意味、ケインズが試算した乗数の値について\n議論した。また、市場の不完全性それがもたらす流動性および流動性制約によって、\nケインズの乗数過程がどのような影響を受けるかを検討した。\n最後に、ケインズ消費関数に関する定型化された事実が、その後の消費関数理論\nにどのような展開をもらしたか、新しい消費関数理論が登場するまでの過程を概観\nした。

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