血流再開直後に移植腎動脈解離を認め動脈形成術を行った1例

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タイトル別名
  • Angioplasty for the intimal dissection of graft artery immediately after blood reflow : a successful case of renal transplantation

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抄録

58歳女.慢性糸球体腎炎の治療を受けていたが, 徐々に腎機能が増悪し, 血液透析療法を受けていた.今回, 夫をドナーとする生体腎移植目的に入院となった.レシピエントの骨盤部CTで右内腸骨動脈に著明な石灰化を認め, ドナーの腹部CTで腹部大動脈に石灰化を認めた.ドナーの血管造影では, 左腎動脈は腹部大動脈から分岐した約1cm末梢部で3本に分岐していた.生体腎移植術を施行し, ドナー腎摘は後腹膜腔鏡下ハンドアシスト法を行った.冷却灌流後に径3mmの吻合口を腎動脈本幹に形成し, 6-0プロリン糸で端側吻合を施行した.血流再開後, 腎後面を主とする2/3以上の領域の色調と緊張が不良で, 初尿も認められなかった.移植腎動脈を詳細に観察したところ, 動脈内膜の解離による偽性動脈瘤を発見し, 血流障害の原因となっていると診断した.レシピエントから移植腎を摘出し再冷却灌流の後, 内膜解離によって生じた偽腔に対して動脈形成術を行い, 再び右外腸骨動静脈の同じ部位に端側吻合した.血清クレアチニン値は術後1日目急速に低下し, 以後, 腎機能の悪化を認めなかった

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 50 (3), 195-198, 2004-03

    泌尿器科紀要刊行会

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