副甲状腺の内分泌代謝に関する研究 2: 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)がカルシウム代謝と副甲状腺機能におよぼす影響

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  • Studies on the endocrinological metabolism of the parathyroid. II. Influence of ACTH on parathyroid function and calcium metabolism

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抄録

副甲状腺ホルモン(以下PTH)にも上位ホルモンが存在しないものかと考え, Ca代謝となんらかの関連性があり, かつ代表的な上位ホルモンである副腎皮質ホルモン(ACTH)を原発性副甲状腺機能亢進症など4群の疾患に投与したところ, 興味ある結果を得たので, in vitroやラットを用いて実験を行った.対象は, 副甲状腺摘除術を施行した原発性副甲状腺機能亢進症17例, Ca含有上部尿路結石患者7例, 血清Ca値が11 mg/dl以上の高Ca血症を伴う悪性腫瘍患者7例と, 正常対照群6例である.ACTH投与後の血清Caは, 原発性副甲状腺機能亢進症では有意の上昇をみたが, 他の群では変化がなかった.血清Caの上昇の割合はACTH投与前の血清Ca値と正の相関があり, 投与前の血清ALP値と負の相関があった.ACTH投与前後のコルチゾール値やACTH値は4群間に差異がなかった.副甲状腺機能亢進症ではACTHの投与後, PTHが上昇傾向にあったが血清P, 尿中Ca, Pは変化がなかった.摘除副甲状腺腺腫の培養液にACTHを添加したところ, PTH濃度は上昇傾向にあった.副甲状腺摘除ラットではACTH投与後血清Caは有意に低下し, 副腎摘除ラットでは血清Caは有意に上昇した.以上からACTHにはコルチゾールを介すると思われる血清Ca低下作用の他に2つの機序による血清Ca上昇作用があることが考えられる.1つはACTHが直接刺激し, PTHの分泌による機序で, あと1つは骨に存在するPTHレセプターのうち, 不活性レセプターに存在するPTHが, PTHと競合作用を持つACTHにより活性レセプターに移行するため骨吸収が生じる機序が文献的に推察された.ACTH投与にても高Ca血症を伴う悪性腫瘍患者では血清Caの上昇がみられなかったことから, 高Ca血症の鑑別診断に役立つものと思われた

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 31 (12), 2149-2159, 1985-12

    泌尿器科紀要刊行会

被引用文献 (1)*注記

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