表在性膀胱腫瘍に対するEtretinateの再発防止効果 - 封筒法による比較試験 -

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  • Prophylactic effect of etretinate on the recurrence of superficial bladder tumors--results of a randomized control study

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抄録

174例の表在性膀胱性腫瘍について, ビタミンAのβイオノン環をベンゼン環に, 側鎖末端をカルボン酸エステルとしたretinoidの一種であるEtretinateを投与して, 再発防止効果を検討した.その結果Etretinate 10 mg/day経口投与を2年以上持続した場合, 2年目以後の再発が抑制されることが示唆された.対象は表在性膀胱腫瘍患者で, TUC/TURによりtumor freeとなηた患者である.方法は封筒法による比較試験で, 対象を2群に分け, 1群は1日1回Etretinate 10 mg 1カプセルを投与し, もう1群は薬物投与を行なわず対照とした.3ヵ月毎に再発をチェックし, Etretinate投与群で9例(9.6%), 対照群で8例(10%)の脱落が生じた.結局第1群85例, 第2群(対照群)72例について統計的な解析を行なηた.2年以上の観察を行なηた例のうち, 第1群で18%, 第2群38%の再発率が見られ, 第1群では明らかな再発の低下が見られた(p<0.1).1年以上観察した例の累積再発抑制率は, Kaplan Meier法によれば対照群と比べEtretinate群で高い傾向が認められた(p<0.1).Etretinateは再発生, 多発, 1 cm以下の腫瘍において高い再発抑制効果(p<0.05)を有することが示された.本剤による副作用は21例(22.3%)に見られ, 主なものは口唇乾燥, 口内炎, 皮膚落屑等であり, 7例(7.4%)に投与を中断した.中断後にこれらの症状はすべて消失した

収録刊行物

  • 泌尿器科紀要

    泌尿器科紀要 32 (9), 1349-1358, 1986-09

    泌尿器科紀要刊行会

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