快さと楽しさ  [in Japanese] Pleasantness and enjoyment  [in Japanese]

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Abstract

この論文では,快さと楽しさという,似てはいるが異なる二つの心的事象をとりあげて,それぞれがどのような心的事象であるのかを考えてみたい。 これらの心的事象を解明することは,それ自体で哲学的に興味深いことであると同時に,快楽主義Hedonism を評価するうえで重要である。快楽主義といっても,いろいろな事柄に関する快楽主義がある。たとえば,「人は常に快楽を求めて行為する」という動機に関する快楽主義,「快楽だけが唯一それ自体で価値がある」という内在的価値に関する快楽主義などがあるが,ここで念頭においているのは,幸福に関する快楽主義である。幸福に関する快楽主義とは,「幸福は快楽から構成される」という考え方である。この考え方によれば,人生が幸福かどうかは,そこに含まれる快楽によって左右される。(以後,幸福に関する快楽主義を単に「快楽主義」と略して記す。)だが,何をもって「快楽」とするかによって,同じ快楽主義といっても,その中身が変わってくる。たとえば,快楽として,快さpleasantness だけを考える快楽主義を考えることもできるし,また,L. M. サムナーSumner などが示唆するように(Sumner 1996: 108-109),快さばかりでなく楽しさenjoyment をも含める快楽主義,あるいは,幸福を構成するのは快さではなく楽しさであると主張する快楽主義を構想することもできる。快さと楽しさは,よく似てはいるが,異なる心的事象であり,その相違のゆえに,これらの心的事象のうちどれを「快楽」の中に含めるかによって,快楽主義の評価も変わってくる。したがって。快楽主義をきちんと評価するためには,まずは,快さと楽しさのどこが似ていて,どこが異なるのかを明確にする必要がある。この論文でこれらの心的事象について考察する背景には,このような事情がある。 とは言っても,我われが日常において使用している「快さ」や「楽しさ」という概念は,その輪郭がぼけているために,それらを明確に区別することはとても難しい。にもかかわらず,快楽主義の評価に役立つようにそれらを区別するという目的からすると,それらにある程度の明確な輪郭を与えなくてはならない。このような事情のために,ここで語ることは,我われの日常的な理解と微妙にずれるかもしれない。だが,そのずれをなるべく大きくしない仕方でそれら二つの概念の輪郭を描くことが,この論文の目的である。1. 心的事象に関する基本概念2. 快さとは何か3. 楽しさ

Journal

  • The Hiyoshi review of the humanities

    The Hiyoshi review of the humanities (25), 1-29, 2010

    慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    120002233720
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN10065043
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    departmental bulletin paper
  • Journal Type
    大学紀要
  • ISSN
    09117210
  • NDL Article ID
    10722038
  • NDL Source Classification
    ZV1(一般学術誌--一般学術誌・大学紀要)
  • NDL Call No.
    Z22-1387
  • Data Source
    NDL  IR 
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