休眠程度の異なるブドウ‘ピオーネ’の発芽に及ぼす温度の影響

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  • Effect of temperature on 'Pione' grapevine budbreaking at different stages of dormancy

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抄録

露地栽培されているブドウ‘ピオーネ’について、休眠の深さが異なる7月から翌年3月まで約1か月間隔で枝を採取し、1芽を有す挿し穂を調整した後、20、25および30℃に制御したインキュベーター(いずれも14時間日長)に入れ、経時的に発芽を調査した。発芽の早さを示す発芽所要日数と発芽の揃いを示す60%発芽所要日数から発芽に及ぼす温度の影響を評価した。実験期間中の温度を測定し、休眠完了と温度との関係を考察した。いずれの処理時期においても30℃の発芽が最も優れ、次いで25℃、20℃の順であった。しかし、発芽に及ぼす温度の影響は処理時期によって大きく異なった。すなわち、発芽所要日数は7月から10月までは徐々に増加し、11月に最大に達した後、3月に向けて少しずつ減少した。このことから、‘ピオーネ’では7月から9月が条件的休眠期、10月から12月が自発休眠期、1月から3月が他発休眠期と推察された。自発休眠期までの最終発芽率はいずれの温度も100%未満であり、また7月〜9月の20℃処理では60%未満の発芽率であった。一方、自発休眠期の中期以降の処理ではいずれの温度とも均一な発芽を示し、最終発芽率はほぼ100%であった。11月以降の処理において、発芽所要日数と7.2℃以下の温度に遭遇した時間数(CCH)との間に有意な負の相関があった。また、11月1日から各処理時期までの0℃以上の温度に遭遇した時間数と20、25または30℃で処理を始めた日から各処理区の発芽までの時間数との積算(CT、℃・h)との間にも有意な負の相関が認められた。以上のことから、‘ピオーネ’の芽の休眠完了の予測には低温遭遇量だけでなく、0℃以上の積算温度による方法も有効と考えられた。

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