ブドウ‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’の果粒,皮及び果肉から発散する香気物質

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  • Aromatic Substances Evolved from the Whole Berry, Skin, and Flesh of Muscat of Alexandria Grapes

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抄録

'マスカット・オブ・アレキサンドリア'の収穫果実について,果粒,果汁,皮,果肉(2mm角に細断)からモンテルペンアルコールをヘッドスペース法によって捕集し,GCで分析した.マスカット香の主成分であるlinaloolとgeraniolなど4種のモノテルペンが分析された。生体重100g,3時間当たりのモノテルペン捕集量は,皮からが最も多く,続いて,果汁,果肉,皮付きの果肉,果粒の順であった.皮からはlinaloolとgeraniolがほぼ同程度に得られたが,果肉や果汁からはlinaloolがはるかに多量に発散した.100gの果粒を構成する各部に含まれる香気成分の分布をみると,linaloolは果汁に最も多く含まれ,geraniolは皮に多く存在した.これらの結果から,剥皮または皮つきでマスカットの果実を食べる場合の,香りの強さと質の相違を検討した.一方,果粒から発散するモノテルペンは,収穫2日後に主要成分の発生量がピークとなり,その後減少して7日後には最低となった.この現象は,果実内に蓄積されたモノテルペンの配糖体が,収穫と同時に分解された結果と推察される.

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