日本人における飲酒と肺がんとの関連性 : メタ分析

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  • Alcohol Consumption and Lung Cancer Risk among Japanese : A Meta-Analysis

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抄録

アルコールの生体に及ぼす害についての生物学的メカニズムは,いくつか示されているが明らか にされてはいない.アルコール飲用は口腔がん,咽頭がん,喉頭がん,食道がんおよび肝臓がんに おいては確立した危険因子である.しかし,アルコール飲用と肺がん発症との関連性を検討した疫 学研究は一致した結果を示していない.そこで,日本人におけるアルコール飲用と肺がんとの関連 性を明確にするために,著者らはメタアナリシスを行った.まず,交絡因子を調整しない粗統合リ スクを算出した.粗統合リスクは0.65(95%信頼区間=0.53-0.77)であった.この推定された統合 リスクは交絡因子,特にアルコール飲用と強く相関している喫煙を調整していないので,正しく統 合リスクが評価されていないと考えられる.そこで,次に喫煙を調整した統合リスクを算出したと ころ,アルコール飲用と肺がんとの間の有意な負の関連性は消失した(調整統合リスク=1.00,95% 信頼区間=0.73-1.26).我々の結果は日本においてはアルコール飲用は肺がんの重要な危険因子で はないこを示唆している.今後,アルコール飲用や交絡要因についての詳細な評価を行うことによ り,アルコール飲用による肺がん発症におけるアルコール飲用の役割についてのよりよい理解が得 られると考えられる.

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