雲仙火山における低高度な高密度空中磁気探査

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  • High-Resolution, Low-Altitude Helicopter-Borne Aeromagnetic Survey over Unzen Volcano

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抄録

雲仙科学掘削の一観測項目として、長崎県防災ヘリの協力をえて、2002 年9 月18 日に雲仙岳を中心とする低高度な高密度空中磁気探査を実施した。近年の噴火は、1990 年11 月17 日に地獄跡火口と九十九島火口における水蒸気噴火に始まり、翌年の 2 月の屏風岩火口からの火山灰噴出の後、5 月に地獄跡火口に溶岩ドームが出現した。噴出した溶岩の多くは、ローブ状に東部斜面に張り付くとともに内性的成長を続けドーム状の平成新山を形成した。山頂近くで磁場の連続および繰り返し観測がなされているが、地上観測では測点が限られ、面的に磁化構造を把握しきれない。また雲仙火山地域における過去の空中磁気探査では、Nakatsuka(1994)、Mogi et al(1995)、 Honkura et al(1995)などが挙げられるが、飛行高度、Target 領域および位置精度の問題が存在し、雲仙火山とその周辺における詳細な磁化構造は把握しきれていないのが現状である。また、空中磁気探査界において飛行航跡をスパイラル飛行としたのは、世界初であることも特記しておきたい。本研究の目的は、1.雲仙火山とその周辺の詳細な磁気異常分布から地下の磁化構造を推定し、火山活動と関連する地質構造や熱構造等を明らかにすること、2.雲仙の火山活動に関連する、雲仙地溝の詳細な2 次元磁化構造を明らかにすることである。調査飛行は、2 高度面(対地高度約320m および180m)同じ領域で行われ、両高度面ともに普賢岳を中心とする概ね10km 四方の範囲のスパイラル測線である。本調査では急峻な地形に沿っての飛行の為に、普賢岳平成新山地域では1600-1700m と高く、飛行高度に約1200m 程度の差があると同時に、スパイラル測線のため、データの密度に偏りもある。そこで、観測高度を滑らかな曲面にグリッド化させ、且つ磁気異常のノイズを取り、長周期分の波長を抽出する目的で、観測高度下に地形補正済み磁気異常を説明するequivalent anomaly(Makino et al, 1993)をinversion により求め、観測高度面に並行する鉛直500m 上の基準面に引き直した。この磁気異常値を入力値として、2 高度面を同時に、ジョイント・インバージョンを行った。なおデータの個数は2 高度分の6498 個、未知数は入力データ範囲の1.8km を覆う6400 個とし、データと未知数のグリッド間隔は各々150m で、20 回の反復計算より求めた。今回得られた磁化強度マッピングから、以下の点を明らかにした。1. 雲仙火山における溶岩の磁化強度は各々の噴火に対し、値がかなり異なる.2. 平成新山は低磁化強度を示し、溶岩が完全に冷却されていないことが示唆される。3. 崩壊壁や温泉と今研究で得られた低磁化強度域は一般的に良く一致している。

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詳細情報

  • CRID
    1050001202113224832
  • NII論文ID
    120002514948
  • NII書誌ID
    AN00027784
  • ISSN
    0386412X
  • HANDLE
    2433/129198
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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