桜島火山大正噴火の準備過程 −磁鉄鉱化学組成からの制約−

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タイトル別名
  • Incubation Processes for the Taisho Eruption of Sakurajima Volcano -Constraints from the Mineral Chemistry of Magnetite-

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抄録

桜島火山大正噴火に至るマグマ溜まりの噴火準備過程を調べるため,軽石噴出物に含まれる磁鉄鉱斑晶および斜長石内の磁鉄鉱包有物の鉱物化学組成分析を行った。包有物は斑晶よりも,低温側により幅広い組成分布を示す。これは,マグマ溜まりの温度が苦鉄質マグマの段階的な注入によって徐々に上昇していたことを示唆する。また個々の磁鉄鉱斑晶は組成が均質で顕著な累帯構造を示さない一方で,斑晶間の組成のばらつきは累帯構造の組成幅よりも大きい。このように斑晶組成が均質だが不揃いであることは,噴火前のマグマ溜まりには温度や化学組成の不均質構造が存在して,それが噴火直前の数年間の時期には,先駆的な噴火やマグマの注入などで大規模に擾乱されることが無かったことを意味する。大正噴火軽石の磁鉄鉱斑晶は,結晶の稜部で僅かな溶解組織を示すことから,高温マグマの注入が引き金となり,ごく短時間で噴火に至った可能性を検討する必要がある。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050564285647244032
  • NII論文ID
    120002515151
  • NII書誌ID
    AN00027784
  • ISSN
    0386412X
  • HANDLE
    2433/129401
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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