遠藤周作の「おバカさん」とドストエフスキ-の「おばかさん」と--「永遠の奇蹟」としての「無条件に美しい人間像」をめぐって Concerning "O-baka-san" by Shusaku Endo and 'Fool' by Dostoevsky: A beautiful man without reserve, an everlasting miracle (Jesus Christ)

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抄録

遠藤周作は「ストレート・ボールを投げる投手が立派な投手で、ナックル・ボールを投げる投手はだめだとはだれも思わない。ユーモア文学は人間や人生の真実をナックル・ボールで語ろうとする文学」(「ユーモア文学のすすめ」『朝日新聞』'64 ・7 ・7)だと言う。しかしこの『おバカさん』には、変化球が変化しそこなってワイルド・ピッチになったような部分もないわけではない。例えば作中の時間の流れはかなりずさんで、「三月中旬頃」に、届いた手紙を読みながら「四月一日まで、まだ二、三日はあるし」とつぶやいてみたり、半月前の出来ごとを「一か月前」と回想させてもいる。時間に関するミスばかりでなく、「水の中に落ち」たはずのピストルを「ぬれた地面の上」から拾い上げさせてもいる。こうしたミスは連載(『朝日新聞』'59 ・3 ・26~8 ・15)時に頻出し、後に中央公論社から出版('59 ・10)した折補正されたようだが、それでも辻褄が合っていない。これは、この作品が作者にとって最初の新聞小説だったこともあり、また作中の時間と執筆中の現実の時間とが混乱してしまったためとも考えられる。

収録刊行物

  • 奈良大学紀要

    奈良大学紀要 (10), p60-70, 1981-12

    奈良大学

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    120002648397
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00181569
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    Departmental Bulletin Paper
  • 雑誌種別
    大学紀要
  • ISSN
    03892204
  • NDL 記事登録ID
    2372041
  • NDL 刊行物分類
    K13(文学--比較文学)
  • NDL 雑誌分類
    ZV1(一般学術誌--一般学術誌・大学紀要)
  • NDL 請求記号
    Z22-845
  • データ提供元
    NDL  IR 
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