産育呪儀三題(二)

• 水野 正好

抄録

出産のあと、湯殿始めの儀が執り行なわれる。産湯の儀である。この産湯の水は、単なる産児を洗う湯という以上に強い宗教性が与えられている。例えば、後白河院の誕生を記す『九民記』には「次主税属佐伯貞仲率仕丁、令汲吉方水」とあるように、産湯水には、誕生した産児の吉方を勘案して陰陽師が方角(吉方)を定め、その方角にある河川などから「吉方水」を汲みとり、宮室・家宅に持ち蹄るのである。

収録刊行物

• 文化財学報

  文化財学報 (14), 41-51, 1996-03

  奈良大学文学部文化財学科

詳細情報

• CRID: 1570009752694101248
• NII論文ID: 120002724424
• ISSN: 09191518
• Web Site: http://repo.nara-u.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=AN0000711X-19960300-1003
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • CiNii Articles