地域政策の新しいパラダイム

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  • The new paradigm of the regional policy of Japan

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抄録

日本の地域政策はパラダイム転換を迫られている。その方向としては、次の5つが考えられる。第1は、誰が地域政策の主役になるのかである。1日パラダイムでは、国と企業が国士作りの中心だった。今後は地域が主役となり、これに、企業、大学、NPO、市民など多様な主体が関わっていく時代になっていくだろう。第2は、どんな方向を目指すのかである。旧パラダイムでは、「集中」を抑え「分散」を促進するというコンセプトが維持されてきた。今後は、必要な集中はむしろ促進していくという「選択的集中」が求められるようになり、各地域が地域資源を生かして個性的な方向を目指すことになるだろう。第3は、どんな地域を対象にするかである。旧パラダイムでは、「遅れた地域をいかに救うか」が政策の中心だった。今後は、「伸びる地域をできるだけ伸ばし、立ち遅れた地域は対象を絞って集中的に助成する」という方向に進むだろう。第4は、どんな手段を使うかである。1日パラダイムでは、公共投資の拡大中心としたハード路線が中心だった。今後は、歴史的な伝統や人間同士の信頼関係などの「ソーシャル・キャピタル」をベースとし、ソフトな社会的、知的資源を重視した政策手段が有効になるだろう。さらに、これからの日本の地域政策は「人ロオーナス」(従属人口比率の上昇)という困難な課題に直面することになる。今後日本の地方部は、特に強くこの人口オーナス現象の影響を受ける。これに対処していくためには、地域資源を生かして雇用の場を創出し、社会移動による人口減を防ぐことが必要となる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174780251136
  • NII論文ID
    120004724895
  • NII書誌ID
    AA12346857
  • DOI
    10.15002/00008176
  • HANDLE
    10114/7385
  • ISSN
    18833934
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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