インド・西ベンガル州における2011年州議会選挙 : 左翼戦線政権の長期支配とその崩壊の要因 <研究ノート>

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タイトル別名
  • The 2011 West Bengal Assembly Election : Factors in the Long-term Stability and Collapse of the Left Front Government <Research Note>
  • インド・西ベンガル州における2011年州議会選挙 : 左翼戦線政権の長期支配とその崩壊の要因
  • インド ・ ニシベンガルシュウ ニ オケル 2011ネンシュウ ギカイ センキョ : サヨク センセン セイケン ノ チョウキ シハイ ト ソノ ホウカイ ノ ヨウイン

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抄録

インドの西ベンガル州では2011年の州議会選挙において34年間におよび政権を担っていた左翼戦線(=LF)政権が崩壊した。本稿では,LF政党が長期政権を維持できた要因ならびに2011年の選挙での敗北に至るまでの経緯を述べ,その選挙結果を分析する。2011年の選挙では,農地買収問題などによる世論の批判の高まりからLF 政党は惨敗した。しかし,長期政権下で作り出された政党が支配する社会に対する人々の不満は既に蓄積されており,農地買収問題はその不満を一気に噴出させたと言える。選挙結果では,貧困層のLF政党支持率は他の階層と比べ依然高い傾向にあり,貧困層からの信頼をある程度保持していることがうかがえる。LF政権の長期にわたる支持の安定性を支えていた要因として,不安定な経済状況から生み出される人々の政党への依存や政党との縁故による便益供与の恩恵が指摘されてもいる。しかし,2006年度と比較すると,貧困層の間での支持率の低下は決して小さくはない。農地買収問題を機に党や政治のあり方そのものに対する不満が高まったと考えられる。左翼政党にとって党の組織改革や意識改革が必要であろう。

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