ジルベール・シモンドンにおけるinformation の概念について : ベルクソン受容という背景から照らした考察を中心に

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タイトル別名
  • Sur le concept d'information chez Gilbert Simondon
  • ジルベール シモンドン ニ オケル information ノ ガイネン ニ ツイテ : ベルクソン ジュヨウ トイウ ハイケイ カラ テラシタ コウサツ オ チュウシン ニ

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抄録

本稿は、フランスの哲学者ジルベール・シモンドン(Gilbert Simondon, 1924-1989)において、独自の用いられ方をしているinformation という語を、彼が第一に参照していると思われるアンリ・ベルクソン(Henri Bergson, 1859-1941)の思想を手掛かりに読み解いて行く。information という語が現代的な意味をもっていなかったベルクソンの時代においては動詞形のinformer で、「形相を付与する」という質料形相論的意味で主として用いられている。たしかに、シモンドンは質料形相論を批判するのだが、ベルクソンがinformer を使用する文脈は、むしろ質料形相論を越え出ており、シモンドンの姿勢はそれに同調しているように映る。information の有する作動のなかで、シモンドンが取り出すのは、齟齬が生みだす意味作用であった。この点が通常の使用と大きく異なるのだが、この定義はシモンドンの思想全体にまで及ぶように思われる。そのことをベルクソンと引き合わせながら検討していくのだが、そうすることによって次第に明らかになっていくのは、ベルクソンとシモンドンの思想の相互補完的な関係である。各々単独では難がある点も、両者の共闘で乗り越えられているところがあるのではなかろうか。information 概念の定位を始まりにおいては目的にしていた本稿は、終わりには、いわば二つの思想の一心同体の可能性を説くことになるだろう。それもまたinformation なのだろう。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 33 99-113, 2012-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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