移民と文化変容 : 台湾回民社会における聖紀祭礼の変遷と回民アイデンティティ

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タイトル別名
  • Migration and Cultural Change : Ritual Change of Sheng-ji and the Chinese Muslim Identity in Taiwan
  • イミン ト ブンカ ヘンヨウ タイワン カイミン シャカイ ニオケル セイキ サイレイ ノ ヘンセン ト カイミン アイデンティティ

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抄録

移民コミュニティが形成されていく過程で、移民エスニシティのアイデンティティは、移住地のマジョリティ文化とのインターラクションの中でのみ構築されていくのではない。同時に、移民エスニック・コミュニティ内部の差異を調整していくことで、彼らのアイデンティティが再構築されていく。本稿では、台湾回民社会で今日行われている聖紀祭礼を分析対象とする。台湾回民社会における聖紀祭礼は、歴史的変遷を経て現在に至っている。また、聖紀を行うことに対する評価も台湾回民社会内で一様ではない。台湾回民の多くが、1945年以降の国共内戦の戦禍を逃れて、中国大陸や第三国を経由して台湾へと移住してきた人々である。彼らの移動の背景は多様であり、また彼らとともに移動してきたイスラームの伝統も多様である。これら台湾回民の移住や移動の経験が、聖紀祭礼の変容や評価の差異と密接に関わっている。そうした移住や移動の経験を背景とした差異を調整するプロセスの中に、現在の台湾回民社会の聖紀が存在している。本論では、聖紀祭礼の歴史的変遷の分析を通して、台湾回民のエスニックなアイデンティティがどのように調整され、変化してきたかを示す。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 24-1 49-65, 2003

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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