夫婦間に生ずる問題とその変遷 : 「人生案内」の分析をとおして

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タイトル別名
  • Marital Problem and Its Transition : Through Analysis of" Jinsei Annnai "
  • フウフカン ニ ショウズル モンダイ ト ソノ ヘンセン ジンセイ アンナイ ノ ブンセキ オ トオシテ

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抄録

現在、離婚の増加や晩婚化・非婚化現象の進行、夫婦別姓を求める声の高まりなど、さまざまな変化が生じており、夫婦関係は分析対象としての重要性を増している。本稿の目的は、身の上相談を資料として、夫婦の日常生活上の問題を歴史的に検討し、夫婦関係の変容をより詳細に捉え直すことである。従来の身の上相談をもちいた研究では、相談内容のみを対象としたものが比較的多いが、本稿では相談・回答をあわせて利用する。相談者が自身の状況のみから悩みを訴えるのに対して、回答者は多数の読者の存在を考慮に入れている。この立場の違いから、悩みごとの捉え方もおのずから異なってくる。そのために、相談者が悩んでいるにもかかわらず、回答者がそれを悩みとして認めないという、「認識のズレ」が生ずる。この「認識のズレ」に着目することによって、相談内容のみを対象としていたのでは検討することができない、夫婦問題に関する認識の微妙な変化を捉えることができる。なぜなら「認識のズレ」の拡大は、それまで見られなかった事象が問題視され始めたことを示しており、逆に縮小は問題に対する新たな認識が浸透してきたことを示していると考えられるからである。本稿では、この「認識のズレ」の変動と、相談内容別のカテゴリーとを合わせて分析することによって、戦後の日本において夫婦関係がどのように捉えられてきたのかを明らかにする。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 23-2 359-379, 2002

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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