潜在クラス分析を用いた計量社会学的アプローチ : 地位の非一貫性、格差意識、権威主義的伝統主義を例に

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タイトル別名
  • Quantitative sociological approaches using the latent class analysis : data analyses of status inconsistency, attitudes to social inequality, and authoritarian-conservatism
  • センザイ クラス ブンセキ オ モチイタ ケイリョウ シャカイガクテキ アプローチ : チイ ノ ヒイッカンセイ、カクサ イシキ、ケンイシュギテキ デントウシュギ オ レイ ニ

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抄録

本研究の目的は潜在クラス分析を用いた計量社会学的アプローチを紹介し、実際に社会調査データ分析を行うことで、その適用可能性を示すことである。はじめに潜在クラス分析の基礎的な考え方を説明した上で、その応用モデル(Distal変数を用いた潜在クラス分析、多集団の潜在クラス分析、共変量のある潜在クラス分析、潜在移行分析)を紹介した。そして、これらの応用分析手法を含めた潜在クラス分析の適用例として、伝統的な社会学的テーマである(1)地位の非一貫性、(2)格差意識、(3)権威主義的伝統主義を取り上げた。分析の結果、地位の非一貫性については、潜在クラス分析によって一貫と非一貫のクラスを集中することが可能になり、また階層帰属意識をDistal 変数として分析することで、地位の一貫性・非一貫性と階層帰属意識の関連を明確にすることが可能となった。格差意識に関しては、その潜在構造は複雑で、偏在していること、そしてその意識のパターンを説明する要因が、多項ロジット潜在クラス回帰分析により明らかにされた。そして、権威主義的伝統主義については、潜在移行分析によって、2 時点間における権威主義的伝統主義化が、どのような変化によって生じたのかが明らかにされた。以上のように、潜在クラス分析によって、先行研究とは異なる知見あるいは先行研究の知見を異なる角度から支持する結果が得られており、潜在クラス分析が計量社会学的アプローチのひとつとして有効であることが示された。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 33 43-68, 2012-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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