宗教性の諸次元とその規定因 : キリスト教を事例に

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タイトル別名
  • Dimensions of Religiosity and Social Determinants on Each Dimension : Evidence from [Japanese Christian Survey]
  • シュウキョウセイ ノ ショジゲン トソノ キテイイン キリスト キョウ ヲ ジレイニ
  • シュウキョウセイ ノ ショ ジゲン ト ソノ キテイイン キリストキョウ オ ジレイ ニ

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抄録

本論の目的は、(1)キリスト教信者の宗教性がどのような次元から構成されるのか(2)それらの諸次元と年齢や性別などの社会的属性との関連はどうなっているのかを探ることにある。欧米の研究では宗教性を一次元ではなく多次元で捉えることにより、信者個々人の内的構造をより的確に描き出す試みがおこなわれている。本論はそのような研究を日本での事例に適用する一試論である。本論の分析では日本のキリスト教信者(プロテスタント)についてのデータが用いられている。以下の結果は、このデータの計量的分析によって得られたものである。(1) 「キリスト教調査」について因子分析をおこない、「内発的志向性」「外発的志向性」および「宗教的行動」の三因子が抽出された。「内発的志向性」「と「宗教的行動」には高い相関があったが、「外発的志向性」については関連が見られなかった。(2)これら三因子と社会的属性との関連は、因子ごとにさまざまであった。具体的には、「内発的志向性」は親の宗教および入信時期と「外発的志向性」は年齢および学歴と、そして「宗教的行動」は年齢および入信時期とそれぞれ関連があっだ。以上の結果から、宗教性を多次元的な尺度によって測定することの有効性があらためて確認された。今後は、宗教性の諸次元が社会意識に対してどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることが課題となる。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 23-2 175-192, 2002

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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