神経内分泌成分を含む横行結腸低分化腺癌の1例

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  • A case of a low-differentiated adenocarcinoma in the transverse colon involving a neuroendocrine component

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抄録

82歳男性.慢性心不全,糖尿病で近医にて入院加療中,貧血を指摘された.大腸内視鏡検査にて,横行結腸肝湾曲部よりに2型腫瘍を認め,生検にて腺癌と診断され当科紹介となった.精査の結果,SS N0M0H0 Stage Ⅱと診断し,D3郭清を伴う横行結腸切除術を施行した.組織学的には低分化腺癌(SE N1M0Stage Ⅲa)との結果であったが,脈管浸潤著明で,一部粘膜下層に腫瘍細胞の蜂巣構造を認め,神経内分泌成分の存在が疑われる所見であった.術後経過は良好で第21病日に退院し,術後3ヶ月以上経過した現在も明らかな再発を疑う所見はない.本来は補助化学療法の適応であるが,心機能・腎機能の低下が認められ,画像検査を中心に経過観察する方針である.結腸内分泌癌は結腸癌全体の1%未満とまれである.生物学的悪性度は高く,早期に血行性・リンパ行性転移を伴い,極めて予後は不良である.今回神経内分泌成分を含む横行結腸癌の一例を,文献的考察を加えて報告する.

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