インドネシア中央部の変成岩 : 概説 : スラウェシ島南部, ジャワ島中央部, カリマンタン島南部・西部に分布する変成帯の重要性

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  • An overview of metamorphic geology from central Indonesia : Importance of South Sulawesi, Central Java and South-West Kalimantan metamorphic terranes

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抄録

インドネシア中央部に位置するジャワ, カリマンタン, スラウェシ各島には変成岩類が分布している. 本論文では, スラウェシ島南部・バンティマラ岩体およびバルー岩体, ジャワ島中央部・ルクウロ岩体, カリマンタン島南部・メラトゥス岩体および西部・シュワナ山地域に分布する変成岩類に関する岩石学的, 地球化学的および年代学的データについてまとめ, これらの地域に関するこれまでの研究例をまとめた. バンティマラ岩体には, エクロジャイト相に達する高圧変成岩類が分布している. 同様の変成条件を示す変成岩はルクオロ岩体からも報告されている. カリマンタン島南部の変成岩からも, Mgに富むクロリトイドの存在から~1.8GPaの高圧の変成条件が報告されている. これらの高圧変成岩からは前期白亜紀のK-Ar年代が報告されていることから, スラウェシ島南部, ジャワ島中央部, カリマンタン島南部は一連の沈み込みによって形成された可能性が示唆される. カリマンタン島西部・シュワナ山地域には, 変成トーナル岩とホルンフェルスを含む接触変成岩が分布しているが, 詳細な変成条件の解析はなされていない. 変成トーナル岩からは, 後期トリアス紀の火成年代がLA-ICP-MSを用いたジルコンU-Pb年代測定によって明らかにされている. この年代は, 後期ジュラ紀から白亜紀のK-Ar年代を示すシュワナ山地域の花崗岩類より古いが, カリマンタン北東部に分布する花崗岩類が示すK-Ar年代(石炭紀から白亜紀)の範囲内である. このことは, シュワナ山地域における花崗岩類の火成活動は, カリマンタン島北西部と同時期であったことを示している. 全岩化学組成からは, スラウェシ島南部およびジャワ島中央部の塩基性変成岩は, 中央海嶺あるいはプルームに関連するテクトニクスで形成された玄武岩と安山岩を起源物質とする. そのため, これらの地域は一連の沈み込みによって形成されたものである可能性が高い. カリマンタン島西部に関しては, 変成トーナル岩や花崗岩類は, 火山弧に関連するテクトニクスに由来することが示唆される.

収録刊行物

  • 比較社会文化

    比較社会文化 19 39-55, 2013-03-20

    九州大学大学院比較社会文化学府

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