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抄録

IgG4関連硬化性胆管炎は,血中IgG4値の上昇,病変局所の線維化とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤などを特徴とする原因不明の硬化性胆管炎である.その多くは自己免疫性膵炎を合併し,ステロイド治療が奏功する比較的予後良好な疾患とされているが,胆管像からは,原発性硬化性胆管炎および胆管癌,膵癌などの腫瘍性病変との鑑別は容易ではない.特に,IgG4関連硬化性胆管炎単独で発症する症例ではその診断に難渋することが多い. そこで厚生労働省IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班,厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班および日本胆道学会は,本症例を数多く経験している専門医からなる診断基準案作成のワーキンググループを組織した.そして,IgG4関連硬化性胆管炎の病態や臨床像を明らかにするとともに,原発性硬化性胆管炎や膵癌,胆管癌などの腫瘍性病変との鑑別を念頭に置いた本症の診断基準の策定を行った. 平成22年10月15日,平成23年2月1日および平成23年8月2日の3回の委員会と電子メールによる意見交換を重ね,本症の臨床診断基準試案をまとめた.この試案に対して平成23年9月17日宮崎で開催された第47回日本胆道学会学術集会において公聴会が開催された.この公聴会での論議を経て修正された臨床診断基準案が日本胆道学会ホームページに公開され,平成23年11月4日まで日本胆道学会の一般会員から広く意見をつのり,最終的に「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」(表1)として報告するに至った. 「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」では,まず疾患概念を明確にし,次に診断項目として1)胆管の特徴的な画像所見,2)高IgG4血症,3)胆管外のIgG4関連合併症の存在,4)胆管壁の病理組織学的所見の4つの項目を掲げ,基本的にはこれらの組み合わせにより診断することが示されている.さらに本症では確定診断に必要な量の胆管組織を非観血的に得ることが容易ではないため,診断率の向上のためにステロイドによる治療効果がオプションの項目として採用された.また,代表的な胆管像を具体的にシェーマで示し,各タイプの胆管像を示す症例において,鑑別すべき疾患と追加すべき検査を明記して,実際の臨床現場で有用な診断基準になるよう配慮されている. 今回の「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」は,現在までに数多くのIgG4関連硬化性胆管炎症例を経験してきた専門医により作成された実用的な診断基準であると考えられるが,今後の症例の蓄積,診断技術の発展および基礎的研究により本症の病態解明がさらに進展していくことが期待される.厚生労働省IgG4 関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班 厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班 日本胆道学会 / The Research Committee of IgG4-related Diseases provided by the Ministry of Health, Labor, and Welfare of Japan (chaired by Kazuichi Okazaki) The Research Committee of Intractable Diseases of Liver and Biliary Tract provided by the Ministry of Health, Labor, and Welfare of Japan (chaired by Hirohito Tsubouchi) The Japan Biliary Association (chaired by Kazuo Inui)

収録刊行物

  • 胆道 = Journal of Japan Biliary Association

    胆道 = Journal of Japan Biliary Association 26(1), 59-63, 2012-01-01

    日本胆道学会 = Japan Biliary Association

被引用文献:  3件中 1-3件 を表示

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    120005253919
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10062001
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    Journal Article
  • ISSN
    0914-0077
  • データ提供元
    CJP引用  IR 
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