ベルクソンにおける〈運〉と〈偶然〉 ──『 道徳と宗教の二源泉』の記述を中心に ──

抄録

本研究は、フランスの哲学者アンリ・ベルクソンにおける<運>と<偶然>について、主に『道徳と宗教の二源泉』の記述に基いて考察を行った。ベルクソンはまた、二世紀のアリストテレス註釈家でもあるアブロディシアスのアレクサンドロスの運命論についても、関心を持っていたようである。ベルクソンは<運>を幸運ないし好運として、<偶然>をアクシデントないし事故として考えていた。しかも、<運>は努力を継続していなければ転がり込んでは来ないもの、或いはそれを掴んだとしても程なくして逃げてしまうものと認識していた。<運>を持続させるためには、陰徳を積みながら下積みすることが重要であるということになる次第である。

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