胃の早期腺扁平上皮癌の一例

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  • A Case of Early Adenosquamous Carcinoma of the Stomach

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抄録

【はじめに】胃腺扁平上皮癌はまれな疾患であり, 報告は様々だがおよそ胃癌の0.5%といわれている. 早期癌に関する報告は非常に少なく, 現在7例報告されているのみである. 今回我々は本邦で8 例目となる早期胃腺扁平上皮癌を経験したので報告する. 【症例】77歳男性で上部消化管内視鏡検査で, 胃角部に0-IIa + IIc 病変を指摘され, 生検では腺癌の診断であった. 腹腔鏡補助下幽門側胃切除施行され, 病理組織診断では胃腺扁平上皮癌, T1b(SM)N1M0 StageIB と診断された. 術後6か月目のCT で肝臓に3か所の転移を指摘され, 再発に対してS-1/CDDP 療法が施行された. 現在1 年7 か月生存中である. 【考察】腺扁平上皮癌とは腺癌と扁平上皮癌が共存しており, うち扁平上皮癌が4 分の1以上存在することが必要とされている. 腺扁平上皮癌の報告は多数あるが, ほとんどの症例は肝転移や多発リンパ節転移を伴った進行した状態で発見されている. また症例が少なくまだ不明なことが多いが, 基本的には予後不良といわれている. 理由としては①多発肝転移や多発リンパ節転移を伴った進行癌で発見されている, ②早期胃腺扁平上皮癌でも早期に再発する, ということが挙げられる. しかし, これまでの7 例の早期癌症例において3例は言及されていないが, 4例は無再発であり, 4年以上生存している症例もあるため, 胃腺扁平上皮癌が生物学的な特徴を有している可能性がある. 本症例のように早期癌であってもわずか6か月で再発をきたした症例もあることから, 通常の腺癌よりは厳重な経過観察が必要であると考えられた.

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