<特集論文>インド自動車産業集積の比較研究 : デリー首都圏とウッタラーカンド州を事例として

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タイトル別名
  • Comparative Study Focusing on Two Industrial Agglomerations in the Indian Automobile Manufacturing Sector: The National Capital Region of Delhi and Uttarakhand

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抄録

本稿は、グローバル経済の下で急速な成長を遂げているインド工業部門の代表例である自動車産業を取り上げ、その空間構造を明らかにすることを目的とする。同産業の概要を説明した後に、2つの典型的な産業集積――デリー首都圏(NCR)とウッタラーカンド州――を事例として、ナショナルレベルにおける自動車産業の全体構造の中でのそれらの位置づけ、およびローカルな内部構造を、とくに分業の観点から論じる。NCRは、グローバルな自動車メーカー、とくに日本企業により設立されたインド現地法人本社と生産機能が主導している点を特徴とする。それらは、日系および地場企業からなる1次サプライヤーと密な取引ネットワークを構築してきた。近年、自動車メーカーはインド市場の重要性の向上に効率的に対応するため、NCR内にR&D機能を設立している。そして、2次サプライヤーや資材メーカーも生産機能を設立している。それゆえ、NCRは重層的な構造をもつ産業集積に変化しつつあると捉えられた。ウッタラーカンド州は、インド政府の「気前のよい」優遇措置政策のおかげで、2000年代後半に急速な工業化を経験している。同州工業化を推進する部門の1つが自動車産業である。しかしながら、自動車メーカーもサプライヤーも単一の機能、すなわち生産しか行わない分工場を設立したにとどまる。州政府は、工場に対してユニークな規制を押しつけている。優遇措置を享受するすべての工場に対して、少なくとも従業員の70%を州内から雇用するように命じている。また、自動車メーカーに対しては州内調達率を75%以上とするように要求している。この比率を遵守するため、自動車メーカーはサプライヤーの立地を促進するためベンダー・パークや工業団地を開発した。表面的には、それらの規制は自動車産業集積の形成を導いているが、優遇措置制度が終了した後のさらなる発展は未知数である。

収録刊行物

  • 現代インド研究

    現代インド研究 4 23-52, 2014-02

    人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」

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キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009224839658880
  • NII論文ID
    120005399055
  • NII書誌ID
    AA12520400
  • ISSN
    21859833
  • DOI
    10.14989/185081
  • HANDLE
    2433/185081
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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